相手を傷つけずにワキガであることを伝える方法
ある高級クラブのママから聞いた話。
10年以上もママをやっていると、もう何百人というホステスを見てきている。
そしてときには、美人だけど 「ワキガ」 というホステスが入店してくる。
ワキガというのは、本人はまったく気付いていない場合が多い。
が、周りの人間はすぐさま気付く。
”美しい女性と過ごす居心地のよい空間” を提供する高級クラブならなおさらだ。
いろいろなタイプの女性を揃えています…といっても、ワキガはまずいだろう。
お姉さんホステスの中には、即座に 「私の席にあの子は付けないでね」 と
スタッフに伝える人もいる。仕事に支障がありすぎる。
こういう場合、誰かが本人に伝えて治してもらわなければならない。
その役目をもう10年以上も担っているのが、このママだそう。
正直言って、絶対にやりたくない役目だ。
「ワキガだから手術してね」 なんて、言われる方も嫌だろうが、言う方もキツイ。
「どんな風に伝えるんですか?」 と興味本位で聞いてみた。
「まずね、最初に
”私も昔、そうだったんだからよく分かるんだけど”って言うの。
それから、
”ワキガだって言われたときはすごく傷ついてお店を辞めようと思った、
でも、せっかく勇気を出して私のために言ってくれた人のことを考えたら、
確かに今、思い切って手術をした方が自分のためになるなって思ったの”
・・・ということを、真剣に語るのよぉー」
さすがですね、と唸ったw
もちろんこのママは元ワキガではない。
ホステスを傷つけず、逆恨みもされず、仕事に励んでもらうための方便だ。
私はママのことをよく知ってるので、その光景がリアルに浮かんで、ものすごく納得したのだ。
ああ、この人にそんな風に言われたら落ちるなと。*1
女だったら、たとえ嘘でも自分がかつてワキガだったなんて言いたくないだろう。
ましてや女性としての価値を競う高級クラブのママが!噂がたったら一大事><
「お店を辞めようと思ったけど、よく考えて手術をすることにした」
と、ホステスが店を辞めることを考える前に言ってしまうところが上手い。
最初にさりげなく退路を断つ。先にこう言われると、その選択肢は選びにくい。
「それはないよねー」 と言われたら、(あるかな?) と思ってても 「ないない」 と同調せざるを得なくなるという、女性心理を巧みに利用してるのがすごい。
それに、このホステスは、ママのことを ”かつて自分と同じ境遇にあった人”という認識で見ている。
まず、敵ではなく仲間だと思わせるところもお見事。
しかも、このママの方便にはまだ続きがある。
「ワキガだって気付く前は、頑張ってもなかなか指名が取れなくて、
この仕事は向いてないのかなって諦めようと思ったこともあったの。
でもね、手術をしてからお店の女の子たちとの関係もよくなって、
お客様を紹介してもらう機会も増えて、そうなると仕事が楽しくって。
お客様ともしぜんにお話が弾んで同伴もバンバン決まって、
気付いたらママになっちゃった☆てへへぺろ」
おまwww言い過ぎだろwwwそれなんて進研ゼミwwww
でも実際、これでワキガの手術を受ける決心をしたホステスがたくさんいるらしい。
店側が、この役目を彼女に一任している理由が分かった気がした。*2
調子に乗ってさらに 「そういうのを乗り越えた子って、根性が据わって頑張るから
人気出たりするんですかねー?」 と聞いてみたら、
「関係ないでしょ。
ホステスがワキガじゃない、なんて最低の最・低・条・件だからね」
アンタのサクセスストーリーなんやったんや!!!!
しかしその回答も含めて、ママの手腕に恐れ入ったのだった。